新しい方向性を探ってついに出会ったフレンチカリビアンの音楽。
さらに小沼さんの音楽の探求の旅は続きます。
以下、画像は全て小沼ようすけFacebookより
夢がかなった子供
小沼ようすけ(以下、小) 共演したフレンチカリブのミュージシャン達は、僕の音楽を新しいものとして捉えてくれた。
地球の裏側の日本から来た男が、自分たちの島のリズムに興味を持ってくれたということを面白がって、喜んでくれて。
サウボナ(以下、サ ) 現地のニュースに取り上げられていましたもんね。
小 そうですね(笑)
CDで聴いて惚れ込んだリズムと一緒に音を出す瞬間はとても嬉しかったですね。
サ 夢がかなった子供みたいにワクワクですね(笑)
小 そうそう(笑)
でも最初は上手くできないんです。今まで積み重ねてやってきた事ではないので。
なんというか…、上手くできるフリは絶対にしたくなかったんです。
ジャック(*1)のアドバイスを頼りに、とにかく一つ一つ学びたい!って気持ちで臨みました。
サ 当時、小沼さんは既に日本で実績を残されていたと思うんですが、ゼロから未体験の場所や音楽に飛び込んでいくのは恐くなかったですか?
小 もちろんちょっとした恐さはありましたけど、それより新しいことが生まれるワクワク感の方が大きかったですね。
自分のアルバムだったし、楽曲も自分が作曲したものでしたから、
自分の曲がどう生まれ変わるのか、とても楽しみでした。
レコーディングが終わった後、ブルーノート・ニューヨークでライブだったんです。
レコーディングしたメンバーで。それはすごい緊張しましたね(笑)
すごい緊張しましたけど、当時の自分の音楽人生の中で「最高の瞬間」でした。
サ おおー!
フレンチカリブの音楽と出会う前に悩んでいたことを考えると、
すごい飛躍の仕方ですね。
小 ゼロに立ち返ることができた気がします。
ただ「これをどうやって日本でやっていこうかな」っていう不安もありましたね。
サ その後は実際にはどんな活動をされていたんですか?
小 震災があったり、父親が他界したりで自分の中で少し戸惑いもあって。
しばらくはサイドマンやったりコラボレーションワークばかりしていましたね。
そんな時期を3年過ごして、そろそろやらなきゃと思って「GNJ」(*2)というアルバムを出しました。
それまでは自分のリーダーバンドはやってなかったし、練習ばかりしてましたね。
サ 練習ですか!?
小 練習してました(笑)
トニー(・モナコ、*3)とのツアーは毎年続いていたし、一緒にアルバムを出したり自分の中で表現できる場所があったから助けられていたと思います。
また、やりたいって言ってるよ。
サ そんな期間を経て、16年に『Jam Ka Deux 』そのツアー後のスタジオセッションを収録した新作『Jam Ka 2.5』を今年4月にリリースしましたが、どんな経緯で??
小 2014年の「GNJ」で吹っ切れて、本格的に動き出そうと思いました。
ちょうどその頃トニー・モナコとのツアー中、企画していたMOCLOUD MUSICの松永さんから聞いたある一つの言葉が、Jam Ka ユニット再スタートへの背中を押してくれました。
彼はヨーロッパのジャズシーン開拓中に1作目の「Jam Ka」メンバーたちと会ってきたそうなんですが、アーノウ(・ドルメン*4)が、
『また、Jam Kaやりたい』
って言ってるよと。
それを聞いてすごく嬉しくなって、「Jam Ka deux」制作を決心しました。
まだ日本では知られていない音楽をリリースできるレーベルを探すのは難しく、レーベルを立ち上げて彼にスタジオやミュージシャンのブッキングをお願いしてアルバム制作に入りました。
自身のレーベル「Flyway LABEL」ロゴ
小 日程を決めようとしていたちょうどその頃、プロデューサーのジャック・シュワルツバルトがヨーロッパツアーでパリにステイするとの情報。
ベースのレジー・ワシントンもベルギーに移住していたし、
じゃあ折角なのでパリ録音にしようということになり、スタジオを3日間押え、
パリで活動していたエルヴェ・サム、グレゴリー・プリヴァとソニー・トルーペに声をかけて、
なんと共演ができることになりました。
結局、グレゴリーはアルバムを通して参加してもらえることになって。
そんな経緯で「Jam Ka deux」が出来上がりました。
グレゴリーもソニーも、みんなJam Ka deuxを作ることによって出会えたんです。
レコーディング後に折角だから、グアドループにソニーのやっている音楽学校があるのでそこを訪れることにしました。ついでにサーフィンもして。
サ 最高の流れですね。 常に抗わないで流れに乗っていく様子はまさにサーフィンのようです。
(*1)ジャック・シュワルツバルト Jam Kaのプロデューサーでもある。フランス海外県グアドループ出身のサックス奏者。ディアンジェロ、ロイ・ハーグローブ、ミシェル・ンデゲオチェロ、共演歴を見れば納得の才人。音楽を始める前はフランスの上院で働いていたという変わった経歴の持ち主でもある。インタビューはこちら
(*2)「GNJ」 2014年発表のアルバム。タイトルは、ジャズの音を表すBlue Noteに、オーガニックでナチュラルな音を掛け合わせた造語「Green Note Jazz」から。
(*3)トニー・モナコ アメリカのオルガンプレイヤー。ジミー・スミスの愛弟子で、“炎のオルガン奏者”の異名を持つ。サウボナ・ミュージックは小沼ようすけ、ジーン・ジャクソンとのオルガントリオのライブのお手伝いをさせて頂いた。インタビューはこちらとこちらに。
(*4)アーノウ・ドルメン グアドループ出身のドラマー/ka奏者。ジャック・シュワルツバルトの推薦によりJam Kaに参加。その後に大活躍し、いまやフランスのジャズ界きっての人気ドラマーに。通常のスネアの形状で、Kaとしても使用できる「スネアKa」の発案者でもある。
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