音楽との会話 トニー・モナコ インタビュー2

(翻訳:Noriko Honda)

2018年9月のある日、早朝5時。時差13時間のオハイオと岡山を繋いで行ったインタビュー。

前回、「音楽をコピーすること」と「音楽そのものになること」の違いを話してくれました。今回もそのことからお話ははじまります。インタビュー時の時間の都合で今回の分量は少し短めになるかなーって思ったんですが、その分、濃度は濃いめ。野生的なオルガンという生き物の話、面白いですよー。





 私たちは楽器が演奏ができないのでもう少し教えてください。
コピーをすることと音楽自体になるということとはどんな違いがあるのですか? 


 いい質問ですね。若い人に教えているときによく思うんだ。若者は最初のうちは聴いたもの、学んだものをコピーして理解していく。でもある時点から自分の声を持ち、表現するようになる。それが、音楽そのものになる、ということ。私たちが演奏するとき、私もジーンもようすけも過去のレコードから直接コピーしたような所がもちろんあると思うんだ。ただ、自分の経験、自分の人生をとおして語っているんだよ。科学者も最初は学校に行き、自分のテーマを見つけて研究者になるようなものだね。 


 とても面白いです。私たちのようなジャズの知識のないような人もその違いを感じることはできるんでしょうか? 


 できると思うよ。私たちが自分独自の根源から表現していることは隠せない。演奏を聴けば、分かってしまうと思う。
ただのコピーじゃない事は伝わると思うよ。


 岡山公演でもハモンドオルガンB3とレスリースピーカーがご用意できました。 


 素晴らしい!どうもありがとう! 


 知人のオルガンプレイヤーがハモンドオルガンの音色を「まるで震動を全身に浴びる」ようだと言っていました。


 そうだね。ハモンドオルガンは生きているんだ。電気は使っているんだけど、まるで内側では生き物のように動いているんだ。
中でホイールが動いてたり、レスリースピーカーも動いていたりして、とても有機的なんだ。だから本物のハモンドオルガンを弾けるのは嬉しいよ。すごく楽しいんだ。


 早く聴きたいです!!まだ早朝5時ですが(笑)


 それは良かった。「アリガト!」


この写真はsawubona姉弟が岡山のFM局 FM radio MOMOで音源を流してもらった時のもの。

この公開収録後に、スタジオの外で聴いていたという男性から声をかけられて

トニーさん達のライブの事を詳しく聞かれた。

楽曲がもつ魅力をひしひしと感じる出来事でした。





音楽は与える以上のものを返してくれる



 トニーさんから見てジーン・ジャクソンはどんな人ですか? 


 音楽も人間性もとても素晴らしいミュージシャンだよ。


 ジーンさんは初めて一緒に演奏したときから「ケミストリー」があったと言われてたのですが、いかがですか?


 その通りだね。ジーンともようすけとも親密だから、フィーリングを共有しあってる。

私もジーンも常に音楽を徹底的に追及し続けてるし、お互いを高めあってる。だから演奏するたびに音楽自体も、より強いものになっていってる。ジーンはモンスターだから、やるたびに毎回手応えがあるんだ。 


 私たちはそんなモンスターにコーヒーを入れていただきました(笑)


 そう!彼はとてもコーヒーが好きなんだ。とてもたくさんのエスプレッソを一日中飲んでるよね!(笑)


 私たちも美味しいコーヒーをご用意してお待ちしています(笑)
ようすけさんについてはいかがですか?


 ヨウスケサンもジーンさんと同じで、とてもワンダフルで、ビューティフルな人だ。だから彼の音楽もワンダフルでビューティフルなんだ。

ツアーになると日夜ずーっと一緒になる。ステージでの演奏も普段の生活の一部になるんだ。私たちはお互いに愛と尊敬を抱いているし、ちょうど同じだけのミュージシャンとしての強さをもっている。だから日々どんどん良くなっていくんだ。

このバンドはエゴが全く無く、純粋でピュアで愛に溢れていて、ミュージシャンとしての力の強い人たちが集まっている。


 トニーさんからも「愛」という言葉が何度も出てきてたので、お互いが深く分かり合っているんだなと思います。


 私たちは作りものの愛で何かを表現しているわけではないんだ。リアルな人間がリアルな愛情を持って表現しているんだよ。とてもシンプルな事さ。


 やっぱりとてもシンプルなんですね。






 私は音楽とは「神様の言語」だと思っている。だからこれはとても純粋なもの。

そして音楽のアジェンダは「ただ純粋であること」だと思う。「ただ純粋であること」は愛と同じことだとおもうんだ。 


 なるほど。


  音楽は「忍耐」であり、音楽は「赦し」でもある。

音楽は謝ったりしないし、一時、音楽から離れて、後で帰ってきても、「どこへ行ってたんだ!」なんて怒ったりしない。

「おかえり。また会えて嬉しいよ」って言ってくれる。必ず受けいれてくれるんだよ。


 やさしい…(笑)


 (笑)だから僕らは音楽をやっているんだよ。


 音楽はとっても度量が大きいんですね。


 そうだね。音楽は私が与える以上のものを返してくれる。


 つい音楽的な知識がないことを引け目を感じてしまうこともあるんです。

受け止め切れてないんではないかって。
今のお話を聞いて、ただ純粋にそこにいるだけでいいんだな、という気持ちになりました。 


 音楽を分かち合うには、聴き手であるあなたがいないと成り立たないんだよ。だから大事なんだ。


 泣きそうです!


 ぜひ、聴いていてください。


 はい、楽しみにしています。


 もう一つ言わせて欲しいんだけど、ハモンドオルガンは私にとって、大工のハンマーと同じなんだ。

だから音楽が私を必要としている訳ではなくて、自分の声を伝えるために私にはオルガンが必要なんだ。

ジーンさんにとっても、ようすけさんにとってもそれは同じで、楽器は道具にすぎない。道具を通じて自分たちの声や心を音楽として伝えているんだよ。


 最後に岡山のオーディエンスにメッセージをお願いします。


 岡山の皆さん、精いっぱい楽しむ準備をしておいてくださいね!!踊って、歌って、手を叩いて、体全体で最大限に楽しんでください!!って伝えたいよ。


 分かりました!アナウンスしときます!


 日本人のカルチャーが礼儀正しくて、敬意にあふれているのはよくわかってるけど、

それは一旦おいといて、全身で最大限楽しんでもらったら、もっともっと面白いよって事を知って欲しいね。


 ありがとうございました。ライブ楽しみにしてます!!




岡山の皆さん!

いやいや、日本の皆さん!

トニーさんもそう言ってることですし、今回のツアーは踊り狂いましょう!!

(トニーさん編 おわり)

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