ルーシー・ウッドワード インタビュー
昨年、チャーリー・ハンター&ルーシー・ウッドワードとしてのデビュー作「ミュージック!ミュージック!ミュージック!」を発表。来月には同ユニットとして初来日、2月11日には岡山蔭凉寺公演を控えるルーシー・ウッドワードに来日直前インタビューを敢行! ソウルフルでパワフルな歌声から、とってもチャーミングなルーシーの深いお話を、ご堪能ください!
インタビュー・文 = Fumiye Oomori
通訳・翻訳=Yusaku Yoshimura
協力 = MOCLOUD MUSIC/ Seiichiro Matsunaga
音楽の練習がワークアウト-- 練習をしていると心配事が体の外へ出て行く
——まずあなたと音楽との出会いについてお聞かせください。バイオグラフィーを読むとご両親ともに音楽家なのですよね?
ルーシー・ウッドワード:両親ともにクラシックの音楽家で、父は指揮者、母はオペラ歌手だったの。2人ともジャズ、ブルース、ポップス、ソウル、ロック、なんでも聴いていたわ。
私が5歳の時に両親は離婚して、母は私を連れてニューヨークに移り住むことになった。
ニューヨークは街中に音楽が溢れていて、私はいつも音楽に囲まれていた。
学校が夏休みになると父が住むオランダで過ごしたりもしていて、オランダでは父が私にクリエイティブな環境を用意してくれた。
ダンス、特にバレエは熱心にやったし、楽器や歌のレッスンもしたわ。3000マイル離れた2つの家は、どちらもいつも音楽に溢れているのが自然だった。
——そんな風にたくさんの音楽的経験をされていた子供の頃、一番好きだったことは何ですか? 歌うこと?
ルーシー:子供の頃はバレエ・ダンサーになることが夢だったの。
成長して体が向かなくなってしまって、バレリーナにはなれなかったのだけれど。
7歳でフルートを始めたわね。それから12歳で始めた歌も一所懸命だった。
学校に行く前に毎朝2時間フルートの練習をして、ランチの後、放課後、夕食の後、常に何かの練習をしていた。練習するのは当たり前と幼い頃から自然に分かっていたようだった。
音楽家の血がだったのかなとも思うわね。
(ルーシーのInstagramより。なんてかわいい…!この頃にはもう当たり前のように音楽に囲まれてたんですね。)
——自分がやっていること、そういう生活は好きでしたか?
ルーシー:好きとか嫌いではなく、とにかく自分にとってはやらなきゃならないこと、自分には不可欠なものだったの。
学校のテストで悪い点をとった時も、何か他に心配事がある時も、母は私に「フルートの練習に行ってきたら?」と声を掛けてくれた。
私にとっては音楽の練習がワークアウトのようなものだったのね。
練習をしていると心配事が体の外へ出て行くようだった。
もう12、3歳の頃には音楽で生きて行くと決めていたわ。
だから、16歳の時にミュージカルに出演して、生まれて初めて音楽で100ドルを稼いだ時に、「音楽で食べていける! これでやっていくの! こんな素敵なことない!!」
と、とても興奮したわ(笑)
それからは、コマーシャル、ウェディングバンドなどの仕事をしたり、誰かのバックで歌ったり、自分で曲を書くようになった。とにかくすべてが自然な流れだったの。それはいつもそうだし、今もそうね。
——16歳のあなたに100ドルを払ってくれた人に、私たちは感謝しないといけません!!(笑)
ルーシー:ホントそう!!(笑)
——日本には何回か来られたことがあるのですよね?
ルーシー:1度だけ。2003年に私の『Dumb Girls』が日本のラジオでヒットしたのね。
その時に東京と大阪に行ったわ。
日本の10代の女の子たちの雑誌に取り上げられたりして。
P!NKとかアヴリル・ラヴィーンみたいにね。そのような感じのポップな曲だったから(笑)
HMVやタワーレコードに行った時も高校生の女の子達がハローキティのぬいぐるみを投げてくれたり、もうとにかく別世界だった(笑) とても楽しい経験だったわ。
(インタビューはオランダにいるルーシーとSkypeで。「スッピンなんだけどー」と笑うルーシー。超控えめに言って超スーパーキュートです。)
3人という少人数でのプレイは、私にたくさんの“スペース”を与えてくれた。
——今回の来日で楽しみにしていることはありますか?
ルーシー:タイトなスケジュールでオフも到着したその日だけなので、ゆっくりはできないけれど、チャーリー(・ハンター)とドラムのダグ(・ベローテ)は何度も来日してるから彼らに任せようと思っている。
日本食も日本の文化も、そして日本の寺院も大好きだからとても楽しみにしてるの。
20年くらい瞑想もしているし、仏教のお寺に行くといつもとても落ち着く。
人生で一番幸せな気持ちになるわ。だから本当に楽しみ!
——20年も瞑想をされているんですか?
ルーシー:忙しいから定期的にとは言えないけれどね。
私が18歳の時、父が瞑想に連れて行ってくれて、それ以来ずっと。
アメリカには瞑想ができるお寺なんてそんなにないし、あっても誰にでも開かれてることはほとんどないの。だからいつもアジアの国に行ったら仏教のお寺を探すわ。
——もしお望みだったら、蔭凉寺では座禅の体験もできますよ。和尚が丁寧に教えてくださいます。
ルーシー:わ! それはとっても素晴らしいわ! ありがとう!
——とんでもない。では続いてチャーリーとの出会いについて教えてください。
ルーシー:チャーリーがメキシコ人のボーカリストとアメリカ・ツアーに出る、その4日前に彼から連絡があったの。
ビザのトラブルで彼女の入国が不可能になってしまって、3週間のツアーを一緒にやってくれるシンガーを探しているとのことだった。
彼女の代わりに彼女の曲をやるわけにはいかないので、一から二人で曲を選び直さなくてはいけなかったの。
スケジュールは空いていたし、私たちはお互いにブルースやソウル・ミュージックが好きという共通点があったから、そこからやっていこうと。
その日からすぐ連絡を取り合いながらセット・リストを組んでいったわ。
私はその時LAに住んでいたの。
そのツアーのドラマーは小川慶太で、私たちはツアー初日にニュージャージーのチャーリーの自宅に集合して、2時間リハーサルをして、そのまま会場に向かったのよ。
——その時、その状況で初めてチャーリーさんと演奏してみて、どんな気持ちでしたか?
ルーシー:とても緊張したわ。
だってたった3日間で一から準備してツアーに出るだなんて考えられないことだし、初日からきちんと自分の力を出せるのかわからなかった。
チャーリー・ハンターの名前はもちろん知っていたけれど、どんな人なのか、どんなプレイヤーなのかまではよく知らなかったから、ものすごくナーバスになったわ。でも同時にとてもワクワクしたの。会ってみたら彼は素晴らしい人だったし、やることすべてがとても新しくて、初めてのことばかりだった。
それまで私はいつも大人数のバンドでやっていたから、ヴォーカル、ギター(兼ベース。チャーリー・ハンターはギターパートとベースパートをベース弦を張った7弦ギターで演奏する)、ドラムという最少人数で演奏した経験がなかった。
3人でのプレイは、私にたくさんの“スペース”を与えてくれた。
何かが起こり得るスペース。瞬間的に何かが生まれるスペースね。
それまでの私のバンドはいつもアレンジャーがしっかりとアレンジしていたから、自由なスペースがあって、状況に応じてやる即興パフォーマンスは初めてだった。
——お話を伺っていると、とても素晴らしい経験なのはもちろんなのですが、想像するだけで「緊張」を超えて「恐怖」だなと思います。
自分の知らない“スペース(間)”に向かい合っていくのは怖くなかったですか?
ルーシー:いい質問ね。(少し考えて)うん、怖かった。
今までのスタイルとはとても違っていたから。
ナーバス(緊張)という言葉は違ったかもしれない。
私はどのようにしてそういう“スペース”に慣れていけばいいのか分からなかった。
でも、チャーリーが私に電話してきてくれたということは、私のことをそのスペースにおいてもクリエイティブでいられる人間だと信頼してくれたからだと思ったの。
彼はどうやればそういうスペースが生まれるのかを教えてくれた。
例えば、もし自分のバンドで同じ曲をやるとしたら、バース、コーラス、4小節待って次のコーラスなどしっかり構成を決めてやるのだけれど、チャーリーは「いいんだよ、そんなにすぐに次のコーラスに行かなくても。
もっとゆっくりスペースを空けて、自由な間隔でやればいい」と言ってくれる。
そうやってやると、曲が思いがけない形に展開して行ったりもするの。
誰かに教えられるものではない、ステージで私自身が実際にやってみて初めて分かっていくことがある。
私はチャーリーからそのことを学べて本当によかったわ。
豊かな音楽的なバックグラウンドを持つルーシーさんでもチャーリーとの共演で初めての体験だったという音楽的な「スペース」と向き合うこと。そのお話は、ここからさらに深く続きます。シンガーならではの呼吸のお話はとっても興味深いですよ。お楽しみに。
(後半へつづく。)
チャーリー・ハンター&ルーシー・ウッドワード
“ミュージック! ミュージック! ミュージック!” 岡山蔭凉寺公演
【オールド・ブルースから80’sポップスまで幅広くカバーする
ニュープロジェクトでの初来日公演!】
チャーリー・ハンターのプロジェクト史上、最もポップな全編歌モノ!
ポップシンガーのルーシー・ウッドワードと組み、ニーナ・シモンを軸にブルース,スタンダードソング、ポップスまでアメリカンミュージックをソウルフルに再解釈。
テレンス・トレント・ダービーなど懐かしの80’sポップスもカバーするいま最もグルーヴィなユニットとして初来日です!
チャーリー・ハンターは、ディアンジェロ「ヴードゥー」、ジョン・メイヤー「コンティニューム」などに共作者としてクレジットされ、アメリカではジャンルを横断する幅広い活動で一目置かれる存在。
ルーシー・ウッドワードはスナーキーパピーへの客演で注目を浴びた実力派シンガー。これまでにセリーヌ・ディオン、ロッド・スチュワート、バーブラ・ストライザンドなどの録音にコーラスとして参加もしている。
2020年2月11日(祝・火曜)
Open 16:30/ Start 17:30
チケット前売り¥6,500 当日¥7,000
お申込みは
こちらからPassmart
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/015hy110rgbdg.html
もしくはお名前、お電話番号、必要枚数をご明記の上、
sawubona.music@gmail.com
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