アルゼンチンの若き至宝。そんな風に評されることもあるタンゴ界の若きマエストロとのインタビューがかなった場所は7月のブルックリン。警報が出るほどの熱波が到来していたある日、私〈サウボナミュージック 姉〉はNY名物とも言える地下鉄の遅れにあって、約束時間に大幅に遅れる始末。ただでさえ通訳なしのインタビューで緊張してるところ、駅からのダッシュで比喩ではなく鼓動が高まってのスタートとなりました。
初めまして、のパブロさん。声も表情もとても柔らか。
タンゴという音楽の本質をわかりやすく伝えてくれました若きマエストロのお話をどうぞお楽しみください。
サウボナ:遅れてしまって本当にすみません。
パブロ:大丈夫だよ。NYの地下鉄ってクレイジーなのはみんな知ってることだもん。笑
サウボナ:ありがとう。
ここはパブロさんのお気に入りのお店ですか?
〈ブルックリンにあるとても可愛く美味しいパティスリーでした。下の写真のお店。〉
パブロ:ここはもう一つの僕のオフィスみたいなもんだよ。
居心地よくって、美味しくて、最高なんだ。
サウボナ:インタビューが終わったらパイを食べます!笑
では早速。
日本ではタンゴというと、年齢の少し高めの方達にとても人気があって、私と同世代、もしくは若い人たちにはあまり馴染みがないように思います。
私は音楽を聴くのはとても好きですが、それでもタンゴを聴く機会ってあまり今までありませんでした。
なのでパブロさんから、そういうあまりタンゴに馴染みがない人たちにタンゴ音楽の特徴やその歴史とかを簡単に教えていただけたら嬉しいです。
パブロ:タンゴってね。少し独特だと思ってる。
サウボナ:へえ。そうなんですか。
パブロ:うん。ノスタルジアに溢れてるんだ。
それはタンゴの成り立ち、に関係してる思う。
タンゴはヨーロッパからの移民たちが作り上げたものでね。
彼らの多くはまず一人で海を渡ったんだ。
生活を安定させてから、家族を呼び寄せた人も多いけどね。
彼らは孤独の中で母国を懐かしく思い出し、家族のことを恋しく思った。
そんな中から生まれたからタンゴってものすごくメランコリックな音楽なんだよね。
他の南アメリカの音楽と比べると、とっても対照的だとおもうよ。
サウボナ:なるほど。孤独が生んだ音楽、か。
パブロ:例えばブラジル音楽はとっても楽しげだよね。喜びに溢れてるっていうか。
ドラムが効いててさ、リズムが力強くて。
でもタンゴって、なんていうのかな。ある意味ではオペラみたいなんだ。
とってもドラマティックで、感情の緊張感、みたいなものがあるね。
それがタンゴっていう音楽独特の個性だと思ってるよ。
そしてそれは、人間の感情っていう理屈ではないもの、の表し方の、素晴らしい方法の一つだと思ってる。だからこそ、世界中どこの国でもタンゴを踊れる場所ってあるんだよね。
サウボナ:そんなにあるんですか?
パブロ:どこにでもあるよ。
アフリカでも日本でも毎晩どこかでミロンガ(※タンゴの元になった音楽、もしくはタンゴやミロンガに合わせて踊れる場所のこと)は開かれてるし。フィンランドでもモロッコでもロシアにもどこに行ってもタンゴを踊れる場所は見つけられる。
タンゴってそういうものみたいなんだ。
サウボナ:それって、人間の感情っていう、どうしようもないもの、理屈ではないもの、に国の違いはないってことなんでしょうね。
パブロ:その通りだと思うよ。
孤独や悲しみっていう人間なら誰しも持ってるもの、そういうものにタンゴは響いていく。時には痛みを伴うほどに、だれかが恋しい、場所が恋しい、となった時、タンゴっていう音楽は素晴らしい助けになる。その人の中にあるどうしようもない悲しみを、そっと外へ出してくれるようなものになり得るんだ。
サウボナ:ああ。なるほど。だからこそ国の違いを超えてタンゴは多くの人の心に響くんですね。魂を掴む、と言えるかも。
タンゴ:うん。タンゴには独特のシリアスさ、緊張感、みたいなものがある。そこが好きなんだ。〈続く〉
パプロ・エステガリビア Japan tour 2019
タンゴ新時代を牽引する若きマエストロ、パプロ・エステガリビア。
三年ぶりとなる来日公演ツアーで岡山蔭凉寺に初登場です。
現在進行形の音楽「タンゴ」の最先端を、岡山が誇る音の名刹・蔭凉寺の、卓越したサウンドシステム、歴史ある建物、美しい雰囲気の中で心ゆくまでお楽しみください。
敬老の日スペシャルとして、75歳以上の方には割引もございます。
9月16日祝日月曜日
14時30分開場
15時00分開演
前売り¥4,000 75歳以上¥2,000
当日¥4,500/ ¥2,500
蔭凉寺
岡山市北区中央町10-28
駐車場は周辺コインパーキングをお使いください。
お申込み、お問い合わせは
サウボナミュージック
sawubona.music@gmail.com
パプロ・エステガリビア(ピアノ)
北村聡(バンドネオン)
田中神司(コントラバス)
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